淡路プラッツ

特定非営利活動法人青少年自立支援施設

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パターン介入 | プラッツからのメッセージ

 石田 貴裕

 親ごさんとの面談が継続していく中のある時点で、「パターン介入」とも言うべき瞬間が訪れることがあります。そんな言葉があるのかどうかは知りませんが、何かというと、子どもに対する親ごさんの何気ない言動や振る舞いについて一緒に立ち止まって見て共有する中で、「いつものそのパターンでいいのだろうか?」とか「このパターンも考えられるのでは?」とか「このパターンもありなのでは?」などを、おこがましくも文字どおり介入していくことを指します。

このパターン介入、いやいや実はなかなかの曲者で、「それいいですねー、じゃぁ、やってみましょう」って、そんな簡単に実行できるものでもないのです。そもそも、その家族間の親子関係が、長年かけて作ってきた習慣や関係性や家族文化ですから、そんなおいそれと新しいパターンに切り替えられるほどヤワなものでもないですし、そんな簡単でしたら「もうとっくにやってるわ」ってなもんで、意外と手強い相手だったりします。

例えば、親ごさんから「その日最初に顔を合わせた時に、挨拶をすることがもう何年もないんですよねー」みたいな話があったとします。理由としては、昔は挨拶や声かけをしてたんですが、うるさいって言われたり嫌な顔をされたりするので「無理に声かけしない方がいいのかなぁ」と思ってやめてしまってるんです、と。

また、別の例えばですが、自分(親)が口を開くと、つい注意や、「~したらアカンよ」などの“禁止”から入ってしまうんです、という話があったり。自分でもダメだとは思いつつ、何故かついそのモードに入ってしまって、そうすると子どもも“否定”をぶつけてきて、結局言い争いになってしまうというのがいつものパターンなんです、と。

あくまで例え話ですが、こういった「わかっちゃいるけどなっちゃうパターン」は誰でもどこでもよくある話です。それが良いとか悪いとかではなく、ホントよくある話なので、私自身はあって全然OKだと思っています。ただ、親ごさんのタイミングによっては、何かその物言いの後ろ側に引っかかったものを感じる時があって、そこを止まってよく聴いてみると「何かこのパターンを変えてみたいんだけどな~」と話し出す方もいらっしゃいます。その中で、「本当は自分が面倒くさくなってるんですよね…」とか、「何か違うパターンをやった時に無視されたり、反応が無かったりするとつい諦めてしまって。反応が無いことを続けるってしんどいんですよね…」と呟かれる親ごさんもいらっしゃいます。

普段は「若者本人が一番辛いよなぁ」というスタンスの私ですが、でも、やっぱり親も同じように辛いよな、しんどいよな、と切実に感じて胸が苦しくなる瞬間です。もっと劇的に状況を打開できればいいのにな、魔法の言葉があればいいのにな、っていつもいつも思います。でも、そんなものはどこにも無い。そんな都合良くはいかないってわかっています。でも、だからといって、そこに希望がない訳じゃないって思っています。なぜなら、これまで地道だけれど一歩一歩と着実に歩んでいくご家族をたくさん見せてもらってきたので。結果、それが一番近道だったんだなって感じる姿を、今までたくさん目の当たりにしてきたので。だから、始めようと思った時がスタートであって、そこに希望はちゃんとあります。あのパターンやこのパターンに少しずつ足したり引いたりを繰り返しながら、そのご家族に合ったタイミングややり方を一緒に模索していきます。上手くいくこともありますし、上手くいかないこともあります。むしろ、そっちの方が多いかもしれません。だって「いつものパターン」はやっぱり曲者で、やっぱり手強い相手ですから。それでも諦めず、出口を見据えて一歩一歩関わり続けた親ごさんの中には、「挨拶や反応が少し返ってくるようになりました」とか、「前よりは少しだけ話せるようになりました」と笑顔や苦笑いとともに話してくれる方もいらっしゃいます。たまに訪れるそんな時が、少しだけ「いつものパターン」が広がったことを共有して一緒に喜べる瞬間だったりします。

パターン介入は強制介入ではありません。ともすればただの「おせっ介入」になってしまうのかもしれません。だから、無理やり取り組む必要もありません。いつがタイミングなのかも正直よくわかりませんし、無責任な言い方ですいません。ですが、この「パターン介入」は、やってみようと思う親ごさんの背中をそっと後押しする要素は持っているかもしれません。だとすれば、もしその地道な歩みの一歩目を踏み出してみようと思い立ったのであれば、ひとまず一緒にやってみましょうって思っています。二歩目、三歩目と、その先にある“希望ある未来”を目指して。大丈夫、きっと大丈夫。一人じゃないし、ここから、これからです。出口を見据えて、もしよろしければ入口から一緒に始めましょう。

カテゴリー: スタッフエッセイ

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